【動物学】熱帯雨林に生息するカエルの最古の証拠となる琥珀化石
Scientific Reports
2018年6月15日
ミャンマーで見つかった4点の小型のカエルの化石が、熱帯雨林に生息する無尾類(カエル類やヒキガエル類が属する)の最古の直接的証拠であることを示した論文が、今週掲載される。
カエル類の起源は今から約2億年前にさかのぼるが、そうした初期両生類の化石記録は比較的少ない。現在は、世界中の熱帯雨林にさまざまな種のカエルが生息している。現生種のカエルの起源は、古第三紀(約6600~2300万年前)であった可能性が高いが、熱帯生息地に出現した時期を示す直接的証拠は、ほとんど見つかっていない。
今回のLida Xingたちの論文では、白亜紀中期(約9900万年前)のものとされるElectrorana limoaeというカエル種の化石試料4点が記述されている。この化石試料は、ミャンマーのカチン州で見つかった琥珀堆積物に保存されていたもので、白亜紀に存在していた森林生態系の記録となっている。Xingたちは、その時代のカエル類とヒキガエル類について、通常では得られない詳細な三次元生体構造を明らかにした。また、この琥珀堆積物の中には、カエルと共に植物、クモ類、昆虫、海生軟体動物が保存されていた。今回の研究は、カエル類が、少なくともある程度の淡水生息地を含む高温多湿の熱帯林生態系に生息していたことを示す証拠をもたらしている。
また、Xingたちは、このカエル類の化石を現生種のCTスキャン像と比較して、絶滅したカエル種の特徴を明らかにした。Electroranaと温帯地方に生息する特定の現生種との間には身体的類似点があったことから、現生種のカエルの祖先が、現生種より多様な生息地を占有していた可能性が示唆された。
doi:10.1038/s41598-018-26848-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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