Research Press Release
【合成生物学】コーヒーを飲むと作動する人工遺伝子回路
Nature Communications
2018年6月20日
血糖値を調節するよう設計した遺伝子回路を、コーヒーに含まれるカフェインによって活性化させられることを糖尿病のマウスモデルで実証した論文が、今週掲載される。
2型糖尿病は全世界で4億人が罹患しており、それに伴ってかなり多額の医療費が発生している。患者の健康管理をうまく実践するには、食物を摂取した後の血糖値上昇を監視し、対応する必要がある。
今回、Martin Fusseneggerたちの研究グループは、血糖値の調節を助ける遺伝子の発現誘導にカフェインを用いることができるかどうかを調べた。Fusseneggerたちは、カフェイン刺激性高度調節器(C-STAR)という合成生物学的な遺伝子回路を設計した。この回路は市販の飲料製品に含まれるカフェインに応答して2型糖尿病の治療に用いるペプチドを産生する。2型糖尿病のモデルマウスを用いた実験では、C-STARを組み込んだ細胞がコーヒー摂取後に血糖値の制御に役立つことを示した。
今回の研究は、一般に入手可能な化合物を用いて病状を調節するために、遺伝子回路を使用できることの原理証明にすぎないが、合成生物学が今後、生活習慣への侵害を最小限に抑えながら医療分野でどのように用いられるのかを実証している。
doi:10.1038/s41467-018-04744-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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