【遺伝学】社会的相互作用の遺伝的決定因子
Nature Communications
2018年7月4日
ヒトが孤独感に苛まれるか、あるいは特定の社会的活動に参加するかは、特定のゲノム領域内の遺伝的変異の影響を受けている可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。
今回、John Perryたちの研究グループは、孤独感、他者との相互作用の頻度、およびこの相互作用の質の高さ(つまり、秘密を打ち明けることのできる者の存在)に関する質問票に回答した英国バイオバンク研究参加者48万7647人の遺伝的多様性を解析した。Perryたちは、複数形質のゲノム規模関連解析の手法を用いて、個人の遺伝的構成が孤独に対する感受性をどのように決定するのかを調べ、ゲノム上の15か所の座位における遺伝的変異が、この被験者集団における社会的孤立に関連していることを明らかにした。さらに、特定の活動への参加(例えば、パブに行く、宗教団体に所属している、スポーツクラブやジムの会員になっているなど)について解析を行ったところ、細かな遺伝的差異が明らかになり、特定の活動を選ぶという共通点も見られた。
さらにPerryたちは、孤独に影響を及ぼすと考えられる遺伝的変異が、神経症傾向や主観的幸福といった精神的・心理的形質と、ボディマス指数のような身体的形質に影響を及ぼすことがあると報告している。このことから、社会的孤立、メンタルヘルス、および心血管代謝の健康の間に遺伝的連関が成立している可能性が示唆される。
Perryたちは、今回の知見が自己申告と関連解析に基づくものであるため、同定された遺伝的バリアントが上記の過程において因果的役割を果たしていることを確認するためには、さらなる研究が必要であることも指摘している。
doi:10.1038/s41467-018-04930-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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