【材料科学】スマートフォンに組み込める高性能指紋センサーアレイ
Nature Communications
2018年7月4日
触圧と皮膚温を同時に感知するスマートフォン一体型の指紋センサーアレイを製造する新しい方法について説明された論文が、今週掲載される。このセンサーは、スマートフォンのディスプレイに組み込まれており、アクティベーションボタンを用いる場合と違って、指がディスプレイのどの部分に触れても個人識別ができるようになっている。
家庭用電子機器市場では、透明の指紋センサーに対する需要が非常に高い。しかし、現行技術には、光透過率と電気伝導度の高い透明電極が開発できていないなど、重大な設計上の足かせがある。
今回、Jang-Ung Parkたちの研究グループは、透明かつフレキシブルな多機能センサーアレイを製造するための新しい方法を考案した。今回のセンサー設計の秘訣は、超長尺の銀ナノ繊維と細い銀ナノワイヤーからなるランダムハイブリッドネットワークナノ構造を用いた新しい透明電極の開発にある。このネットワークは、光透過率が高く、電気抵抗が低く、機械的曲げに対する抵抗力が極めて大きい。これを指紋センサーアレイに組み込むと、指が触れている際に指紋の隆起部と谷部を正確かつ確実に検出できる高分解能デバイスが得られた。
Parkたちは、指紋センサーアレイ、感圧トランジスター、および温度センサーをスマートフォンのディスプレイと一体化させることで、開発したモバイル機器用新技術の応用可能性を実証した。このことは、将来的にこのセンサーが指紋によるアクティベーションボタンに置き換わる可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41467-018-04906-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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