【物理学】自由落下の普遍性が確認され一般相対性理論は破れなかった
Nature
2018年7月5日
中性子星-白色矮星-白色矮星の三重星系を分析する研究が実施され、「外部の重力場の中で自由落下する物体の加速度は、物体自体の重力にかかわらず一定である」という原理が、これまでで最も厳密な試験に合格した。この原理は、アインシュタインの一般相対性理論における重要な予測であり、今回の研究知見によって裏付けられたことを報告する論文が、今週掲載される。
一般相対性理論は、他の重力論と異なり、自由落下する物体の加速度は一定という前提に基づいている。この原理は、強い重力場を持つ中性子星のような天体にも当てはまると考えられており、「強い等価原理」として知られる。ただし、強い重力場の領域で、この原理の検証が行われたことはなかった。
今回、Anne Archibaldたちの研究グループは、中性子星とその近くを周回する白色矮星、そしてこの連星系を周回する遠方の第2の白色矮星からなる連星系の運動を観測した。この三重星系の観測によって、外側の白色矮星の引力が内側の白色矮星とその伴星である中性子星(強い自己重力を有する)にどのような影響を及ぼすのかを調べることができる。他の重力論では、中性子星に関連した時空の曲がりのために、中性子星が内側の白色矮星と異なる落下をして、内側の軌道がゆがむとされる。ところが、Archibaldたちは、中性子星と内側の白色矮星の加速度の比の違いの上限がわずか260万分の1であることを明らかにした。この研究知見は、一般相対性理論が正しいことを裏付けており、過去の等価原理の試験と比べると、その上限は約1000分の1となった。
doi:10.1038/s41586-018-0265-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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