【心理学】:仔犬は他のイヌとヒトからどれほどうまく学べるのか
Scientific Reports
2018年7月6日
仔犬は、早ければ生後8週頃からイヌとヒトの両方を観察して学習する技能(社会的学習技能)を備えていることを明らかにした予備的研究について報告する論文が、今週掲載される。 今回、Claudia Fugazzaたちの研究グループは、さまざまな品種の生後8週齢の仔犬48匹を対象とした研究を行い、問題箱を開けて中にある食餌の報酬を得る行動を学習する能力について、そのやり方を示したのがヒト、仔犬の母親、見知らぬイヌの場合にどのように異なるのかを評価した。 その結果、やり方を示したのがイヌかヒトかにかかわらず、仔犬はこの課題を遂行する方法を学習したことが分かった。この課題を行ってから1時間後に再び同じ課題を行った場合には、仔犬は、成犬と同じように学習した情報を記憶していた。予想外だったのは、母親より見知らぬイヌから学習する確率が高いことだった。その原因として、Fugazzaたちは、見知らぬイヌがやり方を見せた時に仔犬が注意を向けた時間(平均約44秒)が、母親がやり方を見せた時間(平均約30秒)より長かったことを挙げている。 高齢のイヌの社会的学習は過去の研究によって実証されているが、Fugazzaたちは、若齢の仔犬が高齢のイヌと同じような社会的学習技能を備えていると考えている。今後は、今回と異なる成長段階にあるイヌを用いた研究などを実施することで、イヌの社会的学習の基盤となる機構についてさらなる手掛かりが得られる可能性がある。
doi:10.1038/s41598-018-27654-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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