【動物学】雌のキンカチョウは赤からオレンジまでの色の違いをどのように知覚するのか
Nature
2018年8月2日
雌のキンカチョウは雄のくちばしの色を、赤色とオレンジ色というわずか2つのカテゴリーで知覚していることを報告する論文が、今週掲載される。この研究知見は、鳥類のカテゴリカル色知覚を初めて実証したものであり、鳥類の色知覚、より一般的にはシグナルの進化に関する我々の理解を深めている。
カテゴリカル知覚とは、連続的に変化する刺激の受け手の知覚系において、それぞれの刺激を一定数のカテゴリーに分類処理する機構で、同じカテゴリー内における違うもの同士を判別するのではなく、知覚境界を挟んで反対に位置する違うもの同士を判別する。雄のキンカチョウのくちばしの色は、薄いオレンジ色から暗赤色まで幅がある。雌のキンカチョウは、オレンジ色よりも赤色のくちばしを持つ雄を交配相手として好み、赤いくちばしは細胞性免疫の多様性と正の相関を示している。しかし、雌が、このような色の多様性を連続的に知覚しているのか、カテゴリカル知覚を示しているのかは明確になっていない。
今回、Stephen Nowickiたちの研究グループは、雌のキンカチョウを対象として、食物報酬プロトコルを用いて、オレンジ色から赤色の色スペクトルにわたる8つの刺激をカテゴリー化し、判別する試験を実施した。Nowickiたちは、紙製の円板を作り、単色で塗りつぶしたものと半分ずつ別の色で塗りつぶしたものを作製した。雌のキンカチョウは、1色塗りの円板と2色塗りの円板を混在させておいたところで、最初に2色塗りの円板だけをひっくり返すように訓練し、色の組み合わせとは関係なく、1色塗りと2色塗りを認知できるようにした。実験結果から、雌のキンカチョウは1つの色カテゴリー内の異なるものを同一のものとは知覚しないが、判別能力はカテゴリーの境界を越えたもので最も急激に上昇することが示唆された。また、Nowickiたちは、このカテゴリー化は、色刺激の輝度だけでは説明できないこと、これらのカテゴリーが鳥類の光受容器の感度の結果として生じた可能性は非常に低いことを明らかにしている。
doi:10.1038/s41586-018-0377-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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