【材料】半導体デバイスをスマート衣類に織り込む
Nature
2018年8月9日
新しい作製方法を用いて、発光ダイオードとセンサーをテキスタイルグレードの高分子ファイイバーに直接織り込むことが可能になったことを報告する論文が、今週掲載される。この作製方法は、光通信と健康状態のモニタリングを行う新しい形態のウエアラブル技術を作り出す上で利用できる可能性がある。
光を発したり検出したりできる半導体ダイオードは、通信技術とセンサー技術の基本構成要素だが、こうしたダイオードを布地に組み込むことができれば、さまざまな新しいウエアラブル電子機器の生産が可能になる。ところが、半導体デバイスの機能とファイバーによるテキスタイル生産のスケーラビリティーを組み合わせることは難題だ。
今回、Yoel Finkたちの研究グループは、半導体デバイスが組み込まれた、中空の導管のある大きな高分子塊を出発材料に用いた。Finkたちは、この導管に電線を通してから、出発材料を加熱して引き伸ばし、発光ダイオードまたは光検出ダイオードに電気的に接続された、1本の細長く伸長させたファイバーを作り上げた。それぞれのファイバーは、長さ方向に一定の間隔で配置された。この作製方法は、もともとスケーラビリティーがあり、これらの機能性ファイバーを数百メートル分成形することが可能だ。このように引き伸ばされたファイバーを使えば、布地を容易に織ることができる。
Finkたちは、このダイオードファイバーを標準的な家庭用洗濯機で10サイクル洗濯して、ダイオードファイバーの性能に悪影響が生じなかったことを確認し、その耐久性を実証した。また、Finkたちは、発光ダイオードを織り込んだ布地と光感知ダイオードを織り込んだ布地の間に双方向光通信回線を設定して、スマートテキスタイルを使った着用者の心拍数測定が可能なことを明らかにした。
この新しい製造プロセスは、さらに高度な機能を有する布地を編むパターンを示しており、Finkたちは、スマートテキスタイルとウエアラブル技術が常に高度化するというムーアの法則に相当する法則が当てはまる可能性に道を開くものだと結論付けている。
doi:10.1038/s41586-018-0390-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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