タックスヘイブンは環境保全を害しかねない
Nature Ecology & Evolution
2018年8月14日
環境破壊に関連する産業がタックスヘイブン(租税回避地)から得られる秘匿性を大いに利用していること明らかにしたPerspectiveが、今週掲載される。Victor Galazたちによれば、この種の不透明な管轄権による環境への影響は、その経済的・社会的影響と合わせて考えるべきであるという。
Galazたちは、インターポール(国際刑事警察機構)および地域漁業管理機関のデータを用いて、違法・無報告・無規制(IUU)漁業に関与する既知の船舶の70%が、タックスヘイブンの船籍を有しているか、これまでにタックスヘイブンの船籍を有していたことがあることを明らかにした。また、漁船が漁獲サイズや漁場に関する規制を逃れるために、どのようにして複雑な所有権の網に潜り込んでいるのかを探った。
第2の事例研究で、Galazたちは、ブラジル中央銀行による2000~2011年の過去データを用いて、ブラジルの大豆業界と牛肉業界に流入する外国資本の約70%がタックスヘイブン経由であることを明らかにした。これら2つの業界は、アマゾンの森林破壊に関係していることが知られている。
Galazたちは、タックスヘイブンが、違法な木材伐採、野生生物取引、資源採取といった他の環境破壊的活動に加担するためにも利用されている可能性が高いことを示唆している。そして、このような財政的パイプラインが、環境規制や説明責任を回避する経済活動をどれほど許しているのか、またそれによる税収減が保全努力を害しているのかどうかについて、緊急に評価することを訴えている。
doi:10.1038/s41559-018-0497-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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