Research Press Release

古代マヤ文明による森林伐採が土壌炭素の貯蔵に影響を及ぼした

Nature Geoscience

2018年8月21日

グアテマラとユカタン半島の土壌中に炭素が貯蔵された期間は、古代マヤ文明による森林伐採のために短くなったことを報告する論文が、今週発表される。この知見から、同じような熱帯地域における森林伐採は、そこに横たわっている土壌が炭素を隔離する能力に影響を及ぼす可能性があると考えられる。

土壌は大量の有機炭素を保持しており、それらを大気から何千年以上にわたり隔離することができる。そうした土壌を覆う植生に対するかく乱は全て、炭素貯蔵に影響を及ぼすと考えられているが、その影響は土壌の種類と干渉の性質によって変化し得る。

Peter Douglasたちは、マヤ低地の土壌中の有機炭素の残存期間の過去3500年にわたる変化を、ろう(植物の葉が産生し、湖の堆積物に保存されていたもの)の年代を基に調べた。その結果、ろうの土壌中の残存期間は、土地利用が集中的に行われていた時期に減少し、マヤ文明の人口密度が低下していくつかの地域で土壌管理の実践を始めるにつれて回復し始めたことが見いだされた。しかし、炭素の残存は森林伐採が始まる前のレベルにまで回復することはなく、このような土壌は、そこを覆う植生が回復した後も炭素をあまり隔離できないことが示唆される。

さらに、Douglasたちは、過去150年間にわたる森林伐採が、調査した一部の地域においては土壌中の炭素残存量をさらに減少させていることを見いだしている。

doi:10.1038/s41561-018-0192-7

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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