【動物行動学】ミーアキャットは経験豊富な見張り役の鳴き声を信頼する
Scientific Reports
2018年8月24日
採餌行動中のミーアキャットは、経験を積んだ見張り役の穏やかな鳴き声を聞くと、警戒行動を減らす傾向があることを報告する論文が、今週掲載される。
ミーアキャットが数匹の群れで採餌行動をする時には、通常、そのうちの1匹(2匹以上であることはめったにない)が周囲を見渡して、残りの仲間に対して定期的に鳴き声を発する。これは見張り行動として知られる。見張り役は、鳴き声を発することで、採餌中の個体に対して、誰が見張りをしているのかという情報と、最新の捕食リスクに関する情報を伝える。見張り役の鳴き声に対する採餌中の個体の応答は、誰が見張りをしているのかによって異なることが知られているが、これまでの研究では、こうした採餌中の個体の応答に見張り役の年齢、同じ群れの中の他の個体との関係、および経験が、どのような影響を及ぼすのかは明らかになっていない。
Ramona Rauberたちの研究グループは、2016年と2017年の春にミーアキャットの研究を行い、さまざまな見張り役が発した穏やかな鳴き声の録音を、3~23匹の採餌個体の群れ(9グループ)に聴かせた。そして、それぞれの録音が再生された5分間に採餌行動中のミーアキャットが周囲を見渡す警戒行動を取った割合を計算した。その結果、見張り役を頻繁に行ったことのある個体の穏やかな鳴き声を聞いた採餌中のミーアキャットが周囲を見渡す時間が、見張りをほとんどしたことのない個体の鳴き声を聞いた場合より短くなった。一方、社会的順位、年齢、性別は、採餌中のミーアキャットが示す警戒行動に影響を及ぼさないようだった。
今回の知見から、ミーアキャットには他の個体が群れを守る役割を果たした経験を把握する機構があることが示唆される。Rauberたちは、ミーアキャットがさまざまな個体の鳴き声を聞き分け、それぞれの鳴き声を聞いた頻度を記憶することで、他の個体の見張り役としての経験を把握しているという考えを示している。
doi:10.1038/s41598-018-29678-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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