【動物学】ザトウクジラの鳴き声は世代を超えて変わらない
Scientific Reports
2018年9月28日
ザトウクジラの鳴き声(call)は数世代にわたって変わらないが、その歌(song)は頻繁に変化していることを報告する論文が、今週掲載される。
クジラの発声には、歌(反復性のある長時間の発声)と鳴き声(歌のようはパターン化された反復性のある構造を持たない発声)がある。今回、Michelle Fournetたちの研究グループは、ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)の鳴き声(歌以外の発声)の最も古い録音として知られる1970年代の録音とその後の録音(1990年代、2000年代、2010年代)を比較して、鳴き声の不変性を調べた。その結果、一部の鳴き声が36年間変化しなかったのに対して、歌は頻繁に変化していたことが分かった。
米国アラスカ州南東部で記録された16種類のザトウクジラの鳴き声のうちの12種類が1976年の録音と2012年の録音の両方に含まれており、これらの鳴き声が36年間変わらなかったことが実証された。また、8種類の鳴き声が4つの年代全ての録音に含まれており、12種類全てが少なくとも3つの年代の録音に含まれていた。歌が変化しやすいこととは対照的に、鳴き声が世代を超えて変わらなかったことから、鳴き声に不変性を要する目的(例えば、クジラの群れの社会構造の構築や、採餌行動の協調)があると考えられ、この点で歌と異なっていることが示唆される。従って、交尾活動で重要な役割を果たす歌にとって新規性が大事であるのと同様に、鳴き声には不変性が大事なのかもしれない。
doi:10.1038/s41598-018-31527-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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