ケレスの揺らめいていた過去が明らかに
Nature Geoscience
2018年10月9日
準惑星ケレスは、その歴史の初期に、地殻の密度の変化によって向きが変わったことを示唆する論文が、今週掲載される。このような向きの変化によって、ケレス表面に見られる複数の割れ目や惑星を一周する嶺などの特徴を説明できる可能性がある。
我々の太陽系の惑星や月の中には、質量の分布が変化したことに応答して極の位置が変化し、向きが変わったと考えられているものがある。向きの変化は、山脈形成などの過程の結果として起きることがある。例えば、火星では、質量の大きいタルシス火山地域がより安定な位置である赤道に移動するように向きが変わったと考えられている。過去には地球も、プレートテクトニクス(これによっても向きの変化が起こり得る)によって徐々に向きを変えたと考えられている。ケレスを周回するNASAの探査機ドーンは、準惑星の氷を多く含む地殻は変化に富んでいることを見いだしており、このことから天体にわたって密度は大きく異なっていると考えられる。
Pasquale Tricaricoは今回、ドーンが取得したケレスの重力と形状のデータを解析し、向きの変化を引き起こす可能性がある密度の高い地殻が、現在の赤道付近に存在することを見いだした。また、準惑星を一周する古代の嶺の証拠が、現在の赤道から36度傾いた位置に見いだされた。この嶺は、ケレスの元々の赤道を表している可能性があり、地殻が比較的厚いため、向きが変わる間に外側に膨らんだと考えられる。また、地殻表面に見られる大きな割れ目の分布も、向きの変化事象の仮説と合致しており、ケレスや、おそらく他の同じようなサイズの氷天体における内部の複雑な歴史が示唆される。
doi:10.1038/s41561-018-0232-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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