【持続可能性】地球環境の限界を超えない食料生産の維持
Nature
2018年10月11日
現在想定されている人口と所得水準の変動への対策が講じられないと、食料システム(世界人口への食料供給に関係する過程とインフラストラクチャー)が環境に対して及ぼす影響が、2010~2050年の間に50~90%増大する可能性のあることを明らかした論文が、今週掲載される。著者たちは、こうした環境への影響を軽減するためのいくつかの選択肢を分析し、想定される環境圧の上昇を緩和するには、いずれか1つの対策だけでは不十分で、複数の対策を併用する必要があると結論付けている。
今回のMarco Springmannたちの研究では、食料関連の環境への影響を調べることができる程度に詳細な国別モデルを含む、全球的な食料システムのモデルが構築された。Springmannたちは、このモデルと現在と将来の食料需要予測を用いて、2010年と2050年の食料関連の環境への影響を5つの環境領域(気候変動に関連した温室効果ガス排出量、土地システムの変化に関連した耕作地の使用、地表と地下の淡水の使用、窒素の施肥、リンの施肥)に関して定量化し、技術革新やその他の緩和策がない場合には、2050年の食料システムの環境圧が、それぞれの指標について2010年と比べて50~92%上昇するという予測を提示している。
Springmannたちは、食料システムの環境への影響を低減するためのいくつかの選択肢を分析した。例えば、(1)より健康的な野菜を中心とした食事への食生活の変化、(2)技術革新と管理の改善(農作物の収量増加、水管理の改善など)、(3)食品のロスと浪費の削減、などがある。Springmannたちの分析では、これらの選択肢を併用すれば、2050年までに予想されている環境圧の上昇が緩和する可能性のあることが示されている。
doi:10.1038/s41586-018-0594-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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