【化石】地球最古の化石とされる岩石構造に異論
Nature
2018年10月18日
これまで最古の生命の痕跡を有するとされてきた岩石構造が、非生物学的なものに由来する可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、地球上の初期生物に関する理解を深める一方で、地球以外の、例えば火星のような環境で同じように生物を探索する上で三次元の統合解析が重要であることを明確に示している。
グリーンランドで発見された地球で最古の岩石は、最も初期の生命の痕跡を探索する活動において最重要の調査対象である。岩石の当初の組成と組織は、変成作用の屈曲、延伸、加熱などの過程によって消失しているため、この探索活動は一筋縄ではいかない。
2016年にNatureで発表された論文(https://urldefense.proofpoint.com/v2/url?u=https-3A__doi.org_10.1038_nature19355&d=DwICJg&c=vh6FgFnduejNhPPD0fl_yRaSfZy8CWbWnIf4XJhSqx8&r=_nFMf8QbHMB7ni-_C0Yw0VKx5qA48tnCdCMvwPMyE2Q&m=G27Y0m2BRhRhd9eicLERXPGJt7Q2QO7fNMNggPp-kp4&s=KWutV4KLbJ2lJmWwpdFDM0OVC835lPQP49HVxfP2gRA&e=)では、グリーンランド南西部で発掘された岩石から見つかった37億年前のものとされる複数の円錐構造(それぞれ高さ1~4センチメートル)が記述されている。この論文の著者は、この構造がストロマトライト(単細胞微生物の塊によって形成された浅瀬の層状堆積物)であり、これによって最も古い化石記録がこれまで考えられていたものより2億年さかのぼることが示唆されると主張した。
今回、Abigail Allwood、Joel Hurowitzたちの研究グループは、こうした化石の三次元形状、定位、化学組成などの統合解析を行った。その結果、この構造物はストロマトライトと異なり、内部が層状になっておらず、微生物活動の化学的特徴がなく、三次元的に観察すると、円錐形ではなく隆線形であることが判明した。彼らは、これらの特徴が生物学的なものではなく、海洋堆積物が埋没してから長期間の変成作用によって変質・変形した結果だと解釈する方が適切だと主張している。
この論文に関連したMark van ZuilenのNews & Viewsでは、「太古代のストロマトライトに対する生物学的な見解を巡っては、長年の論争がある。今後の研究によって、この岩石の形成に至る一次過程と二次過程が正確に解明される可能性がある」という意見が示されている。
doi:10.1038/s41586-018-0610-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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