【遺伝学】志望大学の選択と大学での学業成績に対する遺伝的影響の可能性
Scientific Reports
2018年10月19日
若年成人による大学進学の決定、志望大学の選択、大学での学業成績は、遺伝子の影響を部分的に受けている可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。
今回、Ziada Ayorechたちの研究グループは、3000人の被験者と3000組の双生児から得た遺伝情報を解析して、若年成人の大学教育に関連する指標の個人差を遺伝子によってどの程度説明できるのかを調べた。Ayorechたちは、一卵性双生児と二卵性双生児を比較して、Aレベル試験の結果(合格すれば英国の大学への入学資格が得られる)の個人差の57%、志望大学の選択の個人差の51%、志望大学の質(学業面の評判、卒業後の就職見込みなどの要因によって測定される)の格差の57%、および大学での学業成績の個人差の46%が遺伝的要因によって説明されることを明らかにした。
これまでの研究では、小学校と中等学校における学業成績の個人差のかなりの部分が遺伝的要因によって説明されることが明らかになっている。これに対して、Ayorechたちは、この遺伝的要因の影響が大学入学以降も続いているという考えを示し、大学では学生が遺伝的要因の影響を受けた能力に基づいて受講科目や環境を自由に選べることが原因である可能性があると主張している。さらに、Ayorechたちは、家族や学校といった「共有」環境が大学進学の決定に影響を与えているものの、大学での学業成績の個人差の一部を説明するのは、個別環境または「1人1人に固有の」環境であることを明らかにした。
Ayorechたちは、双生児のデータを用いて、大学での成功を表す尺度に対する遺伝的影響と環境的影響を解明しただけでなく、DNAだけを用いて、大学での成功が遺伝的要因の影響を受けることも明らかにした。
doi:10.1038/s41598-018-32621-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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