【進化】色付き卵は恐竜から始まった
Nature
2018年11月1日
色付き卵はたった一度の進化によって生じたものであり、現生鳥類の卵殻の色素沈着法は、その祖先の恐竜の時にすでに成立していたことを報告する論文が、今週掲載される。
現生有羊膜類(鳥類、爬虫類、卵生哺乳類)のうち、色付き卵を産むのは鳥類だけである。最近の研究で、鳥類の色付き卵に用いられている赤褐色と青緑色の色素と同じものが、特定の恐竜の卵殻化石において同定された。しかし、鳥類が卵の着色法を祖先の恐竜から受け継いだのか、卵殻の着色法を独立して進化させたのかは明らかになっていない。
今回、Jasmina Wiemannたちの研究グループはこの問題に取り組むため、恐竜の全ての主要分類群の代表例が含まれる一連の卵殻化石をラマン分光法を用いて分析し、色素沈着の証拠を探した。その結果、全てのマニラプトル類(小型の二足歩行恐竜で、羽毛恐竜であることが多い)の卵殻に保存されていた色素の痕跡が発見され、さらにその精密なマップの作製によって点状や斑状のパターンがあることが判明した。Wiemannたちは、これらの色素が現生鳥類の卵の色素と同じように恐竜の卵に沈着していたことを特定している。
これに対して、鳥類の近縁種の中では遠い関係にある鳥盤類(トリケラトプスなど)と竜脚類(ディプロドクスなど)の卵殻には色素沈着が見られず、これらの恐竜の卵は卵殻が化石化する過程で退色したわけではなく、もともと無地だったことが確認された。以上の知見を考え合わせると、色付き卵は、鳥に似た獣脚類においてたった一度の進化で生じ、これらの色素が現代まで続いていることが示唆される。
doi:10.1038/s41586-018-0646-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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