Research Press Release
【医学研究】眼科薬の送達に役立つ眼用パッチ
Nature Communications
2018年11月7日
眼疾患の治療のために薬剤を送達する微小な眼用パッチについて発表する論文が、今週掲載される。この眼用パッチはマウスで検証され、将来的にはヒトの患者が眼疾患を在宅で治療できる可能性が明らかになった。
視力を脅かす疾患(緑内障、加齢黄班変性症など)に対する薬の多くは、眼に直接送達するのが最も安全で最も効果が大きい。しかし、眼球注射は、不快感、感染症、重大な眼の損傷など、さまざまな問題を生じることがある。一方、点眼薬は洗い流されることがあり、十分な効果が得られないことが多い。
今回、Peng Chenたちの研究グループは、眼球に薬剤を制御しながら注入できるマイクロニードルを並べたミリメートルサイズのパッチを開発した。このマイクロニードルは徐々に溶けて、周囲に薬剤をゆっくりと放出する。マウスでは、このパッチを眼表面に親指でやさしく短時間押しつけて貼り付けることができた。Chenたちはマウスで、眼疾患の角膜血管新生をモデルとして用い、この眼用パッチでモノクローナル抗体DC101を送達すると、1回の処置で血管新生領域が約90%縮小することを実証した。これに対して点眼薬では、用量をかなり増やしても有意な治療効果が得られなかった。
この新しいヒト用デバイスの有効性と安全性を評価するには、今後、臨床研究を実施する必要がある。
doi:10.1038/s41467-018-06981-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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