【天文学】太陽系に近い恒星を周回する巨大地球型惑星の手掛かり
Nature
2018年11月15日
恒星運動の研究から、質量が地球の3倍超の低温惑星が太陽系の近くにあるバーナード星を周回している可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。
バーナード星は、太陽系の形成以前から存在していた赤色矮星で、孤立星の中では太陽に最も近い位置にある。バーナード星は、太陽系の近くにあることから、長い間、太陽系外惑星の探索における研究対象候補となっていたが、これまでの研究でそうした惑星は発見されていない。
今回、Ignasi Ribasたちの研究グループは、過去20年間に複数の観測施設によって記録されたバーナード星の視線速度測定データを解析した。その結果、233日周期の小さい振幅のシグナルが見いだされた。Ribasたちは、このシグナルがスーパーアース(巨大地球型惑星)の存在を示している可能性があると考えている。スーパーアースとは、地球より大きな質量を持つが、太陽系の巨大氷惑星である海王星や天王星ほどの質量ではない惑星のことである。スーパーアースと考えられる今回の太陽系外惑星の質量は、最小でも地球の3.2倍とされた。
さらにRibasたちは、この太陽系外惑星が、バーナード星のいわゆる「雪線」の近くを周回していると結論付けている。雪線とは、原始惑星系円盤にもともと存在していた粒状の物質に水分が氷結し始める低温領域を結んだ線をいう。この領域は、惑星の形成に適していると考えられている。
バーナード星が太陽系に近い位置にあり、この太陽系外惑星候補の周回時間が比較的長いため、この惑星候補は今後の研究対象として理想的で、太陽系外の惑星に関する新たな知見をもたらす可能性を秘めている。
doi:10.1038/s41586-018-0677-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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