【技術】ツイッター上での信頼性の低いコンテンツの拡散にソーシャルボットが力を貸している
Nature Communications
2018年11月21日
ソーシャルボット(ソフトウエアによって制御されたソーシャルメディア上のアカウント)が、ツイッター上で信頼性の低い情報源からの記事の拡散に突出した役割を果たしていることが、2016年の米国大統領選挙の頃に実施された研究によって明らかになった。この知見を報告する論文が、今週掲載される。著者たちは、ソーシャルボットを抑制すれば、誤った情報がオンライン上で拡散することを制限できる可能性があるという考えを示している。
ソーシャルボットがソーシャルメディア上で信頼性の低い情報源からの記事の拡散と視認性に大きく寄与していると考える人は多く、インターネット媒体がそれらに制限を加えることが求められているが、そうした関与を示す証拠は、これまでのところ裏付けに乏しい。
今回、Filippo Menczerたちの研究グループは、2016年の米国大統領選挙前後(2016年5月中旬から2017年3月まで)にツイッター上で40万の記事をシェアした1400万回のツイートを解析した。その結果、信頼性の低い情報源(さまざまな種類の誤った情報を日常的に発しており、そのことが定評ある第三者の報道機関や事実確認団体によって確認されているウェブサイト)からの記事が投稿直後から急速に拡散される前までの間に、ソーシャルボットによる増幅が頻繁に起こっていたことが判明した。また、ボットは、リプライ(応答)とメンション(言及)を使って、数多くのフォロワーを有する影響力の大きなユーザーを標的にしている。Menczerたちは、こうした戦略が成功しているのは、現代人がこうした操作に対して脆弱で、ソーシャルボットが投稿したコンテンツの一部を再シェアしてしまうためだとの考えを示している。さらに、今回の解析では、ボットである可能性の非常に高いアカウントのごく一部(全体の約10%)の接続を切り離すことで、今回の研究期間中に信頼性の低いコンテンツへのリンクの拡散をほぼ解消できたことも明らかになった。
doi:10.1038/s41467-018-06930-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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