【がん】DNAメチル化の全体像を利用したがん細胞の検出
Nature Communications
2018年12月5日
10分でがん細胞を検出できる検査法を発表する論文が、今週掲載される。この検査法は、がん細胞と健康な細胞におけるDNAの違いを利用したものであり、初期診断を短時間で下すことができる。
DNAメチル化(DNAの塩基の1つにメチル基が付加すること)は、遺伝的にプログラムされており、全ての「成熟した」ヒト細胞のDNAは、こうした修飾を受けている。がん細胞のゲノム情報は、健康な細胞のゲノム情報とは大きく異なっており、がん細胞のほとんどの種類で、メチル化レベルとメチル化パターンは異なる。
今回、Matt Trauたちの研究グループは、がん細胞の種類によってメチル化の全体像が異なるため、DNAの物理化学的特性に影響が生じていることを見いだした。特に、DNAはより強く金ナノ粒子に吸着することから、Trauたちは、この挙動を利用してがんを検出する検査法を開発した。この検査に必要なのは、患者由来の微量の精製したゲノムDNAで、検査は約10分で完了する。検査結果の評価は肉眼で行われる。Trauたちは、さまざまな種類のがんが含まれるヒト検体100点以上(がん患者72人と健常者31人のゲノムDNA)を用いて、この検査法を検証した。
現段階では、この検査で分かるのはがん細胞の有無だけで、がんの種類やステージは検出できない。今後は、サンプル数を増やした検証が必要であり、さらには、より詳細な解析を行えるように検査法を改良する必要があるかもしれない。
doi:10.1038/s41467-018-07214-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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