【進化】 先史時代の小さな目の「カモノハシ」は触覚によって獲物を見つけていたかもしれない
Scientific Reports
2019年1月25日
三畳紀前期(およそ2億5000万年前)の海生爬虫類Eretmorhipis carrolldongiの新たな化石標本2点について記述された論文が、今週掲載される。Eretmorhipisは、現生のカモノハシとの類似点があり、体サイズの割に目が非常に小さい。従って、この化石標本は、視力の弱い羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)の最も古い記録であり、獲物感知に非視覚な手掛かりを用いていた可能性がある。
非視覚的な感覚刺激に依存する目の小さな動物は、通常、他の感覚器官が発達している。そのような感覚器官は、暗闇での狩猟など、視覚的には高難度の条件下で作動する。今回、藻谷亮介(もたに・りょうすけ)たちの研究グループは、Eretmorhipisの相対的な目のサイズが、こうした目の小さな動物種と同等か、それらより小さいことを明らかにした。今回の化石には軟組織が保存されていなかったので、藻谷たちは、Eretmorhipisのどの非視覚的感覚が発達していたのかを検証できなかった。それでも藻谷たちは、Eretmorhipisの形態と生息地と考えられる場所の環境を基に、触覚が発達していた可能性が非常に高いと結論付けた。
Eretmorhipisが低光量下で触覚によって獲物を捕まえていた可能性があるという今回の発見からは、羊膜類が触覚によって捕食者と被食者を区別し始めたのが三畳紀前期までさかのぼる可能性のあることが示唆される。この知見は、海生爬虫類の多様化が約2億5200万年前のペルム紀末大量絶滅(地球上での既知の絶滅事象の中で最大規模のもの)以降に起こったとする従来の学説に疑問を投げ掛けている。
doi:10.1038/s41598-018-37754-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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