【気候科学】中国のメタン規制は排出量の抑制につながっていない
Nature Communications
2019年1月30日
中国における石炭採掘によるメタン排出量は、その抑制を目指した政府規制にもかかわらず、2010年以降増加し続けていることを明らかにした論文が、今週掲載される。
中国における人為起源のメタン排出量に最も大きく寄与しているのが石炭部門で、約33%を占めている。中国政府は2010年、メタン排出量の削減を目的として、炭鉱から排出されるメタンを消費するか、採掘過程で排出されるメタンガスを燃焼させることを企業に義務付ける方針を定めた。第12期5か年計画に、石炭採掘によって排出されるメタン5.6テラグラム(56億キログラム)を2015年までに消費することが明記され、2020年の目標として、さらに野心的な数値が定められている。
今回、Scot Millerたちの研究グループは、2010~2015年の衛星データを用いて、中国でのメタン排出量の推定値を計算した。その結果、排出量は毎年1.1テラグラム(11億キログラム)ずつ増加しており、「対策を講じない」気候シナリオの通りだったことが分かった。さらに、調査期間中、中国の石炭生産量は増加し続けた一方、ウシ頭数とコメの生産量の変化は比較的少なかった。Millerたちは、中国で規制やイニチアチブが実施されているが、メタン排出量が頭打ちになったり減少したりという目に見える成果は得られていないと主張しており、中国が2015年までの目標として定めた野心的な環境規制値を達成した可能性は低いと結論付けた。
doi:10.1038/s41467-018-07891-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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