超剪断的な速さで動いたインドネシアの地震
Nature Geoscience
2019年2月5日
2018年9月に起きたインドネシアのパル地震(津波により2000人以上の人々が亡くなった)は、超剪断的速さで破壊が進んだことを報告する2編の論文が、今週掲載される。
2018年9月28日に起きたマグニチュード7.5のパル地震は、過去に2つの地殻ブロックが互いに水平に動いた場所(横ずれ断層)に位置している。地震断層による破壊が伝播する速さは、生成される地震波の振る舞いや、その結果生じる関連災害を左右する。通常、破壊の速さは剪断波(動きの方向が波の進む方向に直交する波)が地球の地殻を通過する速さの70~90%であり、それより速い破壊はまれである。
今回、Anne Socquet たち、およびJean-Paul Ampueroたちはそれぞれ、パル地震の人工衛星画像と地震波記録を検証した。その結果、地質学的断層による破壊は、毎秒4.1キロメートルの超剪断的速さで、180キロメートルにわたって伝播したことが明らかになった。著者たちは、断層近傍の損傷を受けた岩石が、この速さで伝播する破壊を封じ込め、維持するのを助けたことを示している。
関連するNews&Viewsで、Martin Maiは、「超剪断的破壊が津波の励起に追い打ちをかけたかどうかは、今後研究する必要があるが、超剪断的破壊が断層近傍の地震動に影響を及ぼしたことは確かである。このような海洋の横ずれ断層による津波と地震動の災害は、標準的な地震災害評価ではほとんど無視されている」と述べている。
doi:10.1038/s41561-018-0297-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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