Research Press Release
【健康科学】マウスの関節の再生
Nature Communications
2019年2月6日
関節を損傷したマウスに対して、いくつかの増殖因子を組み合わせて関節の再生を促す方法について報告する論文が、今週掲載される。
哺乳類の再生能力は低く、切断創や外傷が生じると、その部位に瘢痕組織が形成されるのが通例だ。先行研究では、マウスで、指の切断創を骨形成タンパク質(BMP)2という増殖因子を用いて処置すると骨断端の伸長が促されることが明らかになったが、関節やその他の骨格要素の再生は起こらなかった。
今回、Ken Muneokaたちの研究グループは、マウスに別の増殖因子BMP9を用いた処置を行うことで、関節軟骨に覆われた骨格要素と滑液腔からなる関節構造の形成が促されたことを報告している。ただし、この過程において、滑液腔の形成を開始させるためには、細胞がPrg4遺伝子を発現している必要があることが分かった。また、Muneokaたちは、切断創をBMP2とBMP9で連続的に処置すると、骨細胞と関節細胞の形成につながることも明らかにした。
Muneokaたちは、今回の研究によって、哺乳類の切断創の細胞には関節再生能力とそのための情報が保持されているという証拠が得られたと主張している。
doi:10.1038/s41467-018-08278-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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