小児の疾患を正確に診断するAIモデル
Nature Medicine
2019年2月12日
よく見られる小児疾患を、経験豊富な小児科医に匹敵するほどの正確さで診断できる人工知能(AI)モデルが作られた。この結果は、AIを使うシステムが実用化されれば、医師が大量のデータと取り組む助けとなり、診断評価が強化され、診断が不確実な症例に対して臨床判断を下す際の裏付けが得られる、という予想を実証するものとなりそうだ。
医療情報はますます複雑さを増してきている。最近は病気の種類が多くなり、診断のための検査や治療法の選択肢も急激に増えつつある。そのため、臨床での意思決定は複雑化し、難しいものとなっている。
K Zhangたちは、電子カルテから臨床的に重要な情報を見つけ出すための、AIをベースとするモデルを開発した。このモデルは、深層学習技術を用いた自動化自然言語処理システムを応用したもので、電子カルテを調べて、従来の統計学的手法では見つけられなかった関連性を探し出すことができる。このAIフレームワークの訓練や検証は、中国広州にある大規模なレフェラルセンターを訪れた136万2559人の小児患者からの計1億160万のデータ点の解析によって行われた。
今回のモデルでは、審査官を務める医師が下した最初の診断に匹敵する高レベルの診断精度が得られることが実証された。このモデルはまた、重要な2つの疾患カテゴリー、すなわち、一般的疾患(インフルエンザ、手足口病など)と、危険もしくは生命を脅かすような疾患(急性の喘息発作、髄膜炎など)の診断でも好成績を上げている。
Zhangたちは、このタイプのAIフレームワークが、例えば患者のトリアージや、普通の風邪の可能性が高い患者ともっと重症で緊急介入の必要がある患者とを識別するといった作業で有用性を発揮し、能率の良い患者ケアにつながるだろうと考えている。
doi:10.1038/s41591-018-0335-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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