【考古学】サル狩りとリス狩りに特化したホモ・サピエンスがいた
Nature Communications
2019年2月20日
スリランカにおいて、現在知られる最古のホモ・サピエンスの一部が、半樹上性や樹上性のサルとリスの個体群の狩猟に特化していたことを報告する論文が、今週掲載される。この知見は、捕まえるのが難しい小型哺乳類の捕獲がホモ・サピエンスの可塑性行動の1つであり、そのおかげで近縁のヒト族が足を踏み込まなかったと思われる一連の極限環境に急速に移住できたことを示唆している。
人類は、後期更新世(12万6000~1万1700年前)以降、アフリカを離れて多様な環境で生活した。この動きを妨げる障壁になったと考えられているのは熱帯雨林で、大型哺乳動物相が存在しないことがその理由だ。これに対して、スリランカと東南アジア、メラネシアでは、人類が居住していたことを示す最古の証拠に多雨林環境が関係していることが多い。動物相の詳細な解析が行われていないために、このホモ・サピエンス集団を維持するための食料は何だったのか、そしてどんな狩猟戦略を用いたのかは明確になっていなかった。
今回、Patrick Robertsたちの研究グループは、いくつかの手法を用いて、スリランカにおいて年代測定された中で最古の考古遺跡であるFa-Hien Lena洞窟(3万8000年前と推定されている)の分析を行った。その結果、この洞窟のホモ・サピエンスが、約4万5000~3000年前に骨や細石器(小型の石器)の複雑な加工技術を用いて、霊長類とオオリス類の狩猟に特化していたことが分かった。ホモ・サピエンス集団がこのように乱獲に最も弱い動物種を利用できていたことから、Robertsたちは、これらの動物種の生活環と生息地を詳しく知っていて、持続可能な狩猟戦略を用いていたという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-019-08623-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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