【化学】二酸化炭素を炭素電池の材料に変換する
Nature Communications
2019年2月27日
室温において、ガス状二酸化炭素(CO2)をエネルギー貯蔵に利用可能な固体炭素材料に変換する方法を実証した論文が、今週掲載される。この研究は、大気からの二酸化炭素除去に応用できるかもしれない。
大気中の二酸化炭素を除去して二酸化炭素排出量をマイナスにする技術(負の排出技術)は、将来の気候を安定化させるために非常に重要だ。しかし、温室効果ガスの一種である二酸化炭素のガス状態が、二酸化炭素の無限の貯蔵を困難にしている。これまでに、二酸化炭素を価値の高い産物(例えば、化学原料や燃料)に変換することを目指す研究はかなり行われてきたが、こうした研究アプローチでは、二酸化炭素を恒久的に補足することはできなかった。(産生された燃料は、単に燃やされるだけだった。)
今回、Kourosh Kalantar-Zadeh、Torben Daeneke、Dorna Esrafilzadehたちの研究グループは、室温でガス状二酸化炭素を炭素含有固体に直接変換するための流体金属系電極触媒を開発した。これは、毒性のないガリウム合金を用いた電極触媒で、コーキング(固体炭素が触媒の表面上に析出する現象で、触媒活性が低下する)も抑止する。次に著者たちは、この炭素含有固体を回収し、スーパーキャパシターを作製した。これは、将来的に軽量の電池材料となる可能性がある。
著者たちは、今回の研究で実証された方法は、摂氏数百度で実行されることの多い従来のカーボンナノ材料作製法とは異なり、二酸化炭素の変換に伴うエネルギーの大量消費を低減する上で役立つ可能性があるという見解を示し、この方法が、実行可能な二酸化炭素の負の排出技術の開発につながる可能性があると主張している。
doi:10.1038/s41467-019-08824-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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