貧困への取り組みが持続可能な開発目標を達成するカギ
Nature Sustainability
2019年3月5日
貧困への取り組みと所得不均衡への取り組みを優先することは、持続可能な開発目標の全てを達成するのに役立つという分析結果を示す論文が、今週掲載される。
2015年に国連が定めた17の持続可能な開発目標(SDGs)は、私たちの生き方を変えて、2030年までに地球の境界内で繁栄の釣り合いが取れた持続可能な未来を生み出すために立案された。 SDGsは、生物多様性、貧困、教育、気候変動など、さまざまな切迫した課題に取り組んでいる。SDGsを達成するには人的資源、経済的資源、天然資源を平行して利用しなければならず、あるSDG SDGsの取り組みが他のSDGsに悪影響を与えないようにするには、熟慮が必要である。
今回David LusseauとFrancesca Manciniは、SDGの目標とターゲットへ向けた進展に関するネットワーク分析を行った。世界銀行は1990~2017年の期間に、331の指標一式を開発し、SDGsに情報を与えた。著者たちはこうした指標を用いて、17のSDGsの169のターゲットのうち71のターゲットを評価した。その結果、高所得国において所得不均衡を減らす政策と、低所得国において貧困を減らす政策は、他の全ての目標に有益で永続的な影響を及ぼす可能性があることが示されている。また、目標の相互作用とトレードオフは、国家の裕福度に応じて異なることも明らかになった。高所得国では、気候変動と責任ある消費に関連する目標は、他の多くの目標とは相いれない。
著者たちは、SDGs同士の相互関係の解明は、2030年のターゲットへ向かう進展を加速するのに役立つと示唆している。
doi:10.1038/s41893-019-0231-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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