【地球科学】滝の自然形成
Nature
2019年3月14日
滝は、たとえ確立された外的影響を受けなくても、河川上に形成し始めることを報告する論文が、今週掲載される。この知見は、滝が河川の作用に内在する不安定性によって発達することを示唆している。
滝の形成に関する従来のモデルでは、滝が外的要因に応答して形成することが前提になっている。この外的要因としては、河川の浸食されやすい岩石堆積地への流入、地殻運動による隆起や海水準の変化、氷河による懸谷の形成などがある。しかし、滝の形成を制御する機構については解明が進んでおらず、起源の分からない滝が数多く存在している。
今回、Joel Scheingrossたちの研究グループは、河川の小規模物理モデルを用いて、滝が、外的要因なしに河川内の内部フィードバックによって自然形成し得ることを明らかにした。論文では、基盤岩への河川侵食、河川の流れ、および河川による土砂輸送の間に生じる不安定性によって、河床の起伏が増すことが報告されている。この起伏が激しくなって、徐々に滝が形成されていくのだ。
Scheingrossたちは、滝の自然発生に必要な重大要因として、削磨作用によって浸食された河床と、傾斜角度が1度を超える川に共通に見られる流れ条件を挙げている。こうした水流は山岳地帯の水系網の大部分を占めており、これらの地域内では、自然発生する滝が広範に分布している可能性が示唆される。Scheingrossたちは、自然発生する滝が形成される可能性のある場所や、そうした滝を自然環境の中で同定する方法を解明するためには、さらなる研究が必要な点も指摘している。
doi:10.1038/s41586-019-0991-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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