不確かな先物に基づく米国のシェール投資
Nature Energy
2019年3月19日
タイトオイルやタイトガスの探査業界では、より変動しやすい日々の価格ではなく先物契約に基づいて投資判断が下されている可能性があることを示唆する論文が、今週掲載される。こうした知見によって、2000年代に、変動の激しい石油市場が米国の石油と天然ガスの復活を止められなかった理由が説明されるかもしれない。
タイトオイルとタイトガスの探査には、緻密(タイト)な地層であるシェール層の水平掘削が含まれる。米国のシェール生産は投資を呼び込み続けているが、アナリストたちは、1バレル当たり60ドル以下の石油価格での水圧掘削の収益性に疑問を感じている。タイトオイルとタイトガスの正確な採算価格は、有効なコストデータがないため見積もるのが難しかった。
今回Esmail AnsariとRobert Kaufmannは、さまざまな要因の中で、特に原油価格の変化がタイトオイル層やタイトガス層における新たな掘削装置の導入にどのような影響を及ぼすか調べた。その結果、採算価格は1バレル当たり約50ドルであることが分かった。しかし、著者たちは、価格がこの採算価格より高くなっても低くなっても、掘削装置を借りるかの決定に対する価格変動の影響は小さくなることを指摘している。彼らは、投資家が探査と開発の計画を立てるためには日々の価格ではなく先物契約(合意した価格で後日引き渡す約束)を使っていて、新しい掘削装置の生産性が掘削活動と石油価格の両方に影響を及ぼすと結論付けている。
doi:10.1038/s41560-019-0350-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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