隕石の衝突が月から水を放出させる
Nature Geoscience
2019年4月16日
小さな隕石の衝突によって月から水が放出していることを報告する論文が、今週掲載される。この研究は、月の下層土にはごく微量の水が広く存在し、月の歴史の初期から保存されていたことを示唆している。
10年前に、それまで考えられていた月の極域の氷堆積物だけでなく、月の表面で微量の水が発見された。こうした水の起源は、太陽風と隕石だと考えられてきた。しかし、このような微量の水の起源と量については論争となっている。
Mehdi Bennaたちは今回、NASAの月大気・塵探査機(LADEE)に搭載された測定機器により、月大気中に異常な量の水が間欠的に検出されたことを示している。LADEEは2013年10月~2014年4月に月の周りを周回した。
こうした水の検出事象の大部分は、調査期間における29回の隕石の衝突と同時であった。Bennaたちは、異なるサイズの隕石の衝突によって放出される水の量を調べることで、月の土壌の最表層8センチメートルは水分がないと結論付けた。彼らは、この下層には、最大0.05%の濃度で水が一様に存在していると推定している。
Bennaたちは、隕石の衝突により、年間最大200トンもの水が月から失われていると見積もっている。彼らはまた、放出される表層下の水は、月形成時、あるいはその直後から保持されていると示唆している。
これらの発見は、月の水の起源と運命に対する将来の調査の土台となる可能性がある。
doi:10.1038/s41561-019-0345-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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