イヌは人間のフィットネスにとっても最良の友か?
Scientific Reports
2019年4月18日
イヌを飼っている人は、イヌを飼っていない人と比べて、身体活動の推奨ガイドラインを達成している人数が4倍(推定)に上るとする英国の1つのコミュニティーを対象とした分析結果が今週発表される。この研究知見には、人間が健康を保つ上でイヌが手助けをするという役割を果たすと考えられることが示されている。
成人は、週150分以上の中程度から激しい身体活動を行うことが推奨されている。しかし、この推奨レベルを達成できているのは、英国では男性の66%と女性の58%にすぎず、米国の成人では50%に満たない。イヌを飼うことは、身体活動を促進すると予想されているが、この効果がイヌの飼い主の家族全員に生じるのかどうか、イヌの散歩が他の形態の運動の代わりに行われているのかどうかについては解明されていなかった。
今回、Carri Westgarthたちの研究グループは、英国ウェストチェシャーの385家族(イヌを飼っている成人191人、イヌを飼っていない成人455人と子ども46人を含む)の身体活動(自己申告による)の評価を行った。その結果、イヌを飼っている人の方がイヌを飼っていない人と比べて、ウォーキングをする頻度が高く、所要時間も長いことが明らかになった。また、研究対象集団において、イヌの散歩が、他の身体活動に加えて行われており、他の身体活動の代わりに行われているのではないことも明らかになった。
今回の研究論文で報告されている英国においてイヌを飼うことが身体活動レベルに与える効果は、北米とオーストラリアの集団を対象とした先行研究で報告された効果より大きい。例えば、Westgarthたちは、今回の研究対象となった英国の集団においてイヌを飼っている人の64%が週150分以上イヌの散歩を行い、それが米国では27%にすぎないことも報告している。この差が生じている原因について、Westgarthたちは、米国とオーストラリアで(飼い主がいなくても運動できる)室外犬の占める割合が英国より高いなどの社会と気候のさまざまな違いを挙げている。
doi:10.1038/s41598-019-41254-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化学:アルゴリズムは、ウイスキーの最も強い香りと原産地を嗅ぎ分けることができるCommunications Chemistry
-
天文学:月の年齢はより古いNature
-
気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促すNature
-
天文学:天の川銀河の超大質量ブラックホールの近くに連星系を発見Nature Communications
-
惑星科学:土星の環が若々しい外観を保っている理由Nature Geoscience
-
惑星科学:木星の衛星イオに浅いマグマの海はないNature