【グローバルヘルス】農村部の生活様式が肥満を助長している
Nature
2019年5月9日
過去30年間にボディーマス指数(BMI)が世界的に上昇したことの主たる原因は、農村人口におけるBMIの上昇だったことを示唆する論文が、今週掲載される。この研究は、肥満を都市部の生活様式と結び付ける従来の一般的なパラダイムに異議を唱えるものであり、公衆衛生政策にとって重要な意味を持つ可能性がある。
肥満者の割合は世界的に増加しつつあり、その間に都市人口は増加を続けている。そのために都市部の生活様式が肥満の主たる原因だとする見解が示されたが、この見解を裏付ける研究は小規模で短期的な傾向があった。
今回、Majid Ezzatiたちの研究グループは、合計1億1200万人以上の成人を対象とした2009件の研究結果を分析し、1985~2017年に200か国で生じたBMIの変化を評価した。その結果、1980年代以降の世界的なBMI上昇の55%以上が農村人口におけるBMIの上昇に由来するものであり、一部の低~中所得地域では、この数字が80%を超えることが判明した。この知見は、サハラ砂漠以南のアフリカの女性を除いて、農村部でのBMI上昇率が都市部と同等あるいはそれ以上になっているという事実を反映している。
今回の研究は、農村部と都市部でのBMIの変化に関するこれまでで最も包括的な分析となった。Ezzatiたちは、低所得の農村部では、栄養不足という問題が解決されたが、その代わりにもっと一般的な栄養失調という問題を抱えてしまったと主張し、栄養不足に対する国際的支援をもっと対象を絞り込んで行う一方で、その内容的な幅を広げて、農村部と都市部の低所得コミュニティーでより健康的な食品を入手しやすくするための統合的アプローチをとることを提唱している。
doi:10.1038/s41586-019-1171-x
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