【環境】遠く離れた島で予想以上に大量のプラスチックごみが滞留
Scientific Reports
2019年5月16日
オーストラリア北西沖2100キロメートルに位置し、27の離れ小島からなるココス(キーリング)諸島において滞留している人為的ごみ(プラスチック、発泡体、金属、ガラスなど)は、計4億1400万点、総重量238トンにのぼると推定されることを報告する論文が、今週掲載される。この知見は、ココス(キーリング)諸島で2017年に初めて実施された包括的なごみ調査の結果に基づいている。
Jennifer Laversたちの研究グループは2017年に、ココス(キーリング)諸島の陸地面積の88%に相当する7つの島の25か所の海浜で、マクロごみとマイクロごみの包括的な調査を行った。その結果、ココス(キーリング)諸島の海岸に存在するごみ全体の60%以上がマイクロごみ(大きなごみが砕けた断片)で、識別可能なごみの約25%が靴と消費者向け使い捨て製品(食品包装材、飲料水用ボトル、ストロー、歯ブラシなど)だったことが明らかになった。この調査で記録されたごみの95%以上を占めたのはプラスチック製品で、その次に多かったのは発泡体(3.06%)、その他の種類のごみは0.63%だった。
Laversたちは、海浜の深さ1~10センチメートルには3億3835万5473点のごみが埋もれていると推定しており、これは海浜表面に見えるごみ(推定1286万8379点)の26倍である。このことから、過去の全球的なごみ調査(その大多数が地表のごみだけを調査対象としていた)では、ごみの滞留規模がかなり過小評価されていた可能性が示唆される。
Laversたちは、これ以上の海洋へのプラスチック投棄を防止するためには多面的な取り組みが緊急に必要だとする考えを示し、その例として、プラスチックの生産と消費を抑制するための戦略への投資、使い捨て製品の広範な禁止措置、実効性のある廃棄物管理などを挙げている。
doi:10.1038/s41598-019-43375-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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