【生態学】英国の住宅の庭に集まる鳥類群集の変遷
Nature Communications
2019年5月22日
英国の住宅の庭で、過去40年間に鳥の餌台の利用が増え、鳥に与える餌の種類も増えたために、餌台に集まる鳥類群集の構成が変化した可能性があるとする論文が、今週掲載される。今回の研究は、英国の自宅所有者が野鳥を餌付けする方法とそうした住宅の庭に集まる鳥類の多様性に関するデータを使って、食物源の拡大が、餌台に集まる鳥類種の多様性の増加と関連していることを示唆している。
今回、Kate Plummerたちの研究グループは、1973/74~2012/13年に実施されたGarden Bird Feeding Survey(庭での野鳥の餌付けに関する調査)に対する自宅所有者の回答内容を分析し、英国の住宅の庭で観察された鳥類種は全国規模で変化がなかったことを明らかにした。ただし、個々の庭付き住宅の所有者は、餌台に集まる鳥類種の多様性が増加し、多くの鳥類種(例えば、モリバト、ゴシキヒワ)が餌台をより頻繁に使うようになったという観察結果を示している。そのため英国の都市部では、餌台を使う鳥類種の個体数が増えたが、餌台を使わない鳥類種の個体数は変わらなかった。
Plummerたちは、餌が多様化し、設置された餌台の種類も増えているため、採餌要件の特殊性が高い鳥類種が集まる機会が増えている可能性が高いと主張しており、自宅所有者による餌付け方法が絶えず変化したことが、庭での鳥類群集の構成の変化に寄与してきたという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-019-10111-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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