【環境科学】CFC-11排出量が増えた地域が特定される
Nature
2019年5月23日
トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の全球排出量の2013年以降の増加分の少なくとも40~60%は、中国東部が排出源になっていることを報告する論文が、今週掲載される。こうした増加の原因は、CFC-11の新たな製造と使用である可能性が高く、これは2010年までに全世界でCFCの製造を全廃するというモントリオール議定書の合意に反している。
CFC-11の大気中濃度は、1990年代半ば以降大幅に減少してきたが、この傾向は2012年以降に鈍化したことが昨年報告された。この報告では、CFC-11の排出量が世界的に増加に転じたことが示唆されたが、この増加の原因である排出源は特定されていない。
今回、Sunyoung Park、Matt Rigbyたちの研究グループは、韓国済州島Gosanと沖縄県八重山郡竹富町波照間での大気観測の結果を、全球モニタリングデータおよび大気化学輸送モデルと組み合わせて、増加の原因を調べた。著者たちは、2014~2017年の中国東部からのCFC-11排出量が、2008~2012年と比べて年間約700万キログラム増加したと報告しており、主たる排出量増加の源を中国北東部の山東省と河北省付近とし、排出の原因は未報告の新規製造と使用である可能性が非常に高いとしている。
このCFC-11排出量の増加の原因となったプロセスを突き止め、それに関連するCFC-11の製造規模を明らかにするには、さらなる調査が必要とされる。
doi:10.1038/s41586-019-1193-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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