【気候変動】温暖化に応じて変化した全世界の海洋プランクトン
Nature
2019年5月23日
人為起源の気候変動が世界の海洋プランクトンの群集組成に及ぼす影響について説明した論文が、今週掲載される。有孔虫(固い殻を持つプランクトンの一種で、堆積物中でうまく生き延びている)の現生群集は、約170年前に始まった産業革命より以前の時代の有孔虫群集とは異なっていることが示され、この知見により、海洋プランクトン群集が地球温暖化に応じて変化していることが明らかになった。
海洋生態系は気候変動に応じて変化しているが、産業革命以前の時代と比較するための基準がないため、この変化の規模を決定するのは難しい。この問題を解決する1つの方法は、産業革命以前の生物の痕跡が残っている堆積物コアを調べることだ。
今回、Lukas Jonkersたちの研究グループは、世界中で発見されている多様な海生動物プランクトンの分類群である浮遊性有孔虫を調べた。Jonkersたちは、全世界の3500カ所以上で採取された堆積物コアの産業革命以前の層で見つかった有孔虫と、最近(1978~2013年)に堆積物採取器を使って採取された試料に含まれる有孔虫とを比較した。その結果、有孔虫の現生群集は産業革命以前のものと著しく異なっており、変化量は水温の変化の程度と相関し、変化の方向性は過去に観測された全球規模の海面水温上昇のパターンと一致していることが明らかになった。
以上の結果は、海洋生態系の機能と海洋生態系が社会にもたらすサービスの信頼性に対する懸念を生じさせると、Jonkersたちは結論付けている。
doi:10.1038/s41586-019-1230-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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