モリセオレガメを捕食するチンパンジーが初めて観察されたことについて報告する論文が、今週掲載される。
Scientific Reports
2019年5月24日
モリセオレガメを捕食するチンパンジーが初めて観察されたことについて報告する論文が、今週掲載される。
チンパンジーはさまざまな動物を狩猟し、その肉を摂取することがすでに知られているが、これまでカメを捕食するチンパンジーの直接観察はなかった。
今回、Simone Pikaたちの研究グループは、ロアンゴ国立公園(ガボン)に生息するRekambo群集の野生チンパンジー(Pan troglodytes troglodytes)の群れにおける捕食行動について説明している。Pikaたちは2016年7月から2018年5月までの期間中に、これらの野生チンパンジーのうち10個体によるモリセオレガメ(Kinixys erosa)の捕食事象を計38例(うち捕食に成功したのは34例)観察した。カメの捕食は、研究対象となった雄の成体チンパンジーのほとんど、あるいは全ての個体で頻繁に観察され、獲物の発見、それに続く木の幹のような固い表面でカメの腹甲を片手で打ち砕くという独特な一連の行動によって構成されていた。その後、チンパンジーは肉を食べるために木に登った。観察された捕食事象38例のうち23例では、捕食に成功したチンパンジーが、同じ群れの他の個体(カメの腹甲を打ち砕けなかった個体を含む)と肉を分け合った。
チンパンジーは、多種多様な道具の使用方法を発達させてきたことが知られており、例えば、槍のような道具を使って穴の中にいる獲物を捕らえることができる。今回の研究での観察結果は、チンパンジーが、ナッツ類と殻の硬い果実、カタツムリのような食料の中身を取り出すための打ち壊し技術として、硬い表面に叩きつけるかハンマーを使うのかについての新たな手掛かりをもたらした。また、この観察結果はチンパンジーの認知能力が大規模で柔軟なこと、そしておそらくは将来の計画立案を裏付けていると、Pikaたちは考えている。
doi:10.1038/s41598-019-43301-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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