ミドリザルはドローンに反応する
Nature Ecology & Evolution
2019年5月28日
アフリカ西部のミドリザルは、空を飛ぶ未知の脅威に遭遇すると独特の決まった警戒音を発し、なじみのないその音が何を示すかを直ちに学習することを明らかにした論文が、今週掲載される。この研究は、動物界での複雑なコミュニケーション法の進化を明らかにするものである。
アフリカ東部のベルベットモンキー(Chlorocebus pygerythrus)は、ヒョウやヘビ、ワシなどのさまざまな捕食者の存在を知らせる警戒音を発し、それぞれの警戒音に対して異なる反応を示す。セネガルに生息する近縁のミドリザル(Chlorocebus sabaeus)も類似の行動を示すが、ワシに対して警戒音を発した観察例はなかった。
今回、Julia Fischerたちの研究グループは、ミドリザル80頭の上空でドローンを飛行させ、空を飛ぶ未知の脅威にどう反応するかを調べた。ドローンを視認したミドリザルは、ヘビやヒョウに対するものとは異なる警戒音を発した。その新たな警戒音は、ワシを見つけた際にベルベットモンキーが発する音声によく似ていた。
Fischerたちは、この警戒音の類似性は、警戒音の構成があらかじめ決められたものであり、両種の進化史に深く根差していることを示すのではないかと考えている。これらのサルのうち16頭に向けてドローンの音を再生すると、サルたちは空を見回したり逃げたりしたことから、サルはその音の示すものを直ちに学習したと示唆される。
doi:10.1038/s41559-019-0903-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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