【工学】ロボットにヒトの触覚を持たせる「スマート手袋」
Nature
2019年5月30日
センサーのネットワークが組み込まれた手袋が、個々の物体を識別するように学習し、重量を見積もり、物体を操作しながら触覚フィードバックを使用できることを報告する論文が、今週掲載される。この戦略は、将来的に人工器官やロボットツール、人間-ロボット相互作用の設計に役立つ可能性がある。
ヒトは、正しい量の力をかけながら物をつかんだり感じたりすることができる。しかし、こうした感覚フィードバックをロボットで工学的に再現することは難題となっている。近年、コンピュータービジョンによる把持戦略は、新しい機械学習ツールの助けを借りて進歩してきた。しかし、触覚情報に依存するプラットフォームは開発されていない。
今回、Subramanian Sundaramたちの研究グループは、548個のセンサーと64個の導電糸電極が手全体を覆うように配置された、低コスト(10ドル)で単純な構造のスケーラブルな触覚手袋を設計した。このセンサーアレイは、導電糸電極のネットワークによって位置決めされた力感受性フィルムでできている。導電糸電極とフィルムが交差する各点は垂直力に敏感で、力感受性フィルムを通して電気抵抗を測定している。Sundaramたちは、この触覚手袋を着用して片手で物体を操作することによって、触覚マップの大規模データセットを記録した。このデータセットには、指領域間の空間相関と対応関係が含まれており、これらがヒトの把持の触覚特徴を示している。
Sundaramたちは、この触覚手袋を使用し、片手で26個の物体に触れながら5時間以上にわたって触覚映像を記録した。そして、ディープラーニングネットワークを訓練し、記録されたデータからこれらの物体の画像を識別できるようにした。その結果、さまざまな物体をその持ち方から識別できることが明らかになった。
doi:10.1038/s41586-019-1234-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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