Research Press Release
【材料】リサイクル可能な食品包装フィルムの作出
Nature Communications
2019年6月12日
食品包装に用いられてきた金属化コーティングに代わる、完全リサイクル可能な透明フィルムについて報告する論文が、今週掲載される。このフィルムは、環境に優しいプロセスで製造でき、食品包装産業で現在使用されているいくつかの材料よりも容易にリサイクルできる可能性がある。
食品の貯蔵寿命を延ばすことは、今日の経済において重要な必要条件の1つとなっているが、現在の食品包装は環境問題を引き起こしている。特に、金属層を含む多材質複合材料は食品保存に必須のバリアを形成するが、この複合材料を分離してリサイクルすることは非常に難しい。
今回、Dermot O’Hareたちの研究グループは、食品包装に用いられている金属層を代替し、それと同等の食品保護機能を有する環境に優しいリサイクル可能なフィルムを作り出した。O’Hareたちは、水とアミノ酸を必要とする低コストで環境に優しいプロセスを用いて、層状複水酸化物(完全無機物)のナノシートからなる薄いフィルムを合成した。このフィルムは透明で、金属コーティングと同様に酸素と水蒸気を通さず、機械的にロバストな性質がある。これは合成フィルムであるため、その組成は完全に制御可能であり、食品に接触する際の安全性も向上している。
このフィルムは、すでに食品との接触に関する安全基準を満たしているが、食品包装に使用できるようになるまでには、さらなる試験を実施する必要がある。
doi:10.1038/s41467-019-10362-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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