【生理学】足裏のタコは足の役に立っている
Nature
2019年6月27日
裸足で歩く人の足裏にできるタコは足裏を保護するが、これによって足裏の感度や歩き方は損なわれていないことを報告する論文が、今週掲載される。これに対して、クッション素材の靴底の靴は、足裏の感度を低下させ、足から関節に伝わる力を変化させる。著者たちは、モカシンやサンダルのような薄くて硬く、クッション性のない靴底の履物は、分厚いタコにより近い足裏保護性と足裏感度をもたらす可能性があると考えている。
裸足で歩く習慣のある人の足裏には、分厚いタコが自然にでき、歩きづらい地面や滑りやすい地面を歩く際に足裏を保護する。現代の靴にも同じような保護効果があるが、足裏で触刺激を知覚する能力が低下する。分厚いタコによっても足裏の感度が低下する可能性があると考えられてきたが、今回、Daniel Liebermanたちの研究グループは、成人のケニア人81人と米国人22人の足を調べて、この仮説に異議を唱えている。
予想されたように、今回の研究では、裸足で歩く習慣のある人は、普段靴を履いている人よりも足裏のタコが分厚く、硬くなる傾向のあることが分かった。しかし、タコの厚みが足裏の神経の感度に変化を及ぼさないことも明らかになった。また、履物は、地面に着地する時に足から加わる衝撃の大きさに影響を与え、普段靴を履いている人は分厚いタコを持つ人よりも関節に多くのエネルギーがかかることも明らかになった。こうした機械的負荷の変化が骨格に及ぼす影響については、ほとんど解明されておらず、さらなる研究が必要である。
doi:10.1038/s41586-019-1345-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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