【進化発生生物学】昆虫の卵の独特な進化
Nature
2019年7月4日
昆虫の卵のサイズと形状は、産卵の仕方と産卵場所の影響を受けているが、昆虫の体のサイズや発生速度には影響されないとする研究論文が、今週掲載される。
今回、Cassandra Extavour、Samuel Churchたちの研究グループは、昆虫の卵が、サイズに関するさまざまな進化理論を検証するための強力な系であることを明らかにした。昆虫の卵は多様だが、量的形質を用いれば、近縁関係にない系統間の比較も可能となる。今回の研究では、既発表の論文における昆虫の卵に関する記述(1万件以上)のデータベースがまとめられた。この昆虫のリストには6700種以上、526科が含まれ、現在記述されている六脚目(昆虫とそれ以外の生物)が全て含まれている。最も大きな卵の体積は、最も小さな卵の10の8乗倍で、最も大きいのがブルーベリー大のBolboleaus hiaticollis(センチコガネ科の昆虫)の卵で、最も小さいものは小さ過ぎて人間の目には見えない。
この研究グループは、発生期間、体のサイズまたは卵殻の推定「コスト」との進化的トレードオフ関係に関する先行仮説を検証した。昆虫の卵のサイズと形状を比較したところ、これらの仮説が当てはまらないことが判明した。この研究グループは、発生期間が卵のサイズと無関係なことを明らかにし、その一方で、細胞の数や分布などの発生の他の特徴は、卵のサイズに応じて予測可能な法則で拡大縮小する可能性があると考えている。さらに、この研究グループは、水生環境での孵化への移行が、より小さな卵の進化と関連しており、托卵による孵化への移行がより小さく、より非対称的な卵の進化と関連していることを示す証拠も発表した。
doi:10.1038/s41586-019-1302-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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