Research Press Release
がん診断を加速する可能性のあるAIアルゴリズム
Nature Medicine
2019年7月16日
がんと健康な組織を識別できる人工知能システムが報告された。このアルゴリズムは、感度100%を維持しながら、病理医を助けて役に立たない組織サンプルの最大で75%までを除外するので、診断を下すのを援助し、がんセンターでの日常的臨床診療を加速する可能性がある。
がん患者のケアを改善するように設計されたデジタル病理学システムは、臨床診断で使える正確度を備えたモデルがないことと、病院で日常的に取り扱われる大量のがん症例を処理できる能力がないことで、利用が進んでいなかった。
T Fuchsたちは、前立腺がん、皮膚がんおよび乳がんと診断された1万5000人以上の患者から集められた4万4000を超える組織スライドという大規模なリアルワールドデータセットを作成し、組織標本中のがん細胞を病理学者による注釈付けの必要なしに識別できる深層学習モデルを構築した。このモデルは、これら3種類の腫瘍タイプを臨床で使用できる程度の成績で診断でき、試料に何らかの欠陥、例えば気泡やナイフによる傷、切片の折り重なりなどがあっても診断を下せることが分かった。
Fuchsたちは、この方法を使えば病理学者のワークフローの能率が改善され、腫瘍組織が含まれていて有益な情報を得られる組織切片に絞りこんで、集中的に観察を行えるようになると述べている。
doi:10.1038/s41591-019-0508-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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