神経性無食欲症の遺伝学的解明を前進させる新知見
Nature Genetics
2019年7月16日
神経性無食欲症(約1万7000症例)の解析によって8種類の重要な遺伝的マーカーが見つかった。この研究は、神経性無食欲症に関する、これまでで最大規模のゲノムワイド関連解析である。
神経性無食欲症は、複雑で重篤な疾患で、死亡率は他の精神疾患よりも高い。今回、Cynthia Bulikたちの研究グループは、神経性無食欲症遺伝学イニシアチブ(Anorexia Nervosa Genetics Initiative)と精神疾患ゲノミクスコンソーシアム(Psychiatric Genomics Consortium)の摂食障害ワーキンググループ(Eating Disorders Working Group)が収集したデータを基に、神経性無食欲症の患者(1万6992人)と対照被験者(5万5525人)のゲノム解析を行った。その結果、神経性無食欲症に関連する8種類の遺伝的マーカーが突き止められ、神経性無食欲症の遺伝的構造の解析をより正確に行うことができるようになった。また、神経性無食欲症は、強迫性障害や大うつ病などの精神疾患と相関するだけでなく、身体活動や代謝形質とも遺伝的な相関が見られることが分かった。
Bulikたちは、以上の知見は神経性無食欲症が代謝性精神疾患の一種であることを示す証拠であり、代謝疾患と精神疾患の両方の側面に注力することで、将来、有効性を高めた治療法に到達できる可能性があると結論している。
doi:10.1038/s41588-019-0439-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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