【遺伝学】 超強靭なクモ糸を生み出すタンパク質が新たに発見された
Communications Biology
2019年7月26日
ダーウィンズ・バーク・スパイダーというクモの糸が並外れて強靭な理由を説明できるかもしれない新しい遺伝子について報告する論文が、今週、Communications Biology に掲載される。この研究結果は、新しい生体材料の工学的作製にとって重要な意味を持つかもしれない。
ダーウィンズ・バーク・スパイダーの巣は、これまでに知られているクモの巣の中で最も大きく、最長25メートルの糸によって作られている。このクモの巣の構造的輪郭を作り出すために使用されている牽引糸は、最も強靭なことで知られる生体材料であり、その強靭性はケブラー(R)の10倍に達する。しかし、ダーウィンズ・バーク・スパイダーの糸がこうした極度の強靭性(強度と伸展性の目安)を得るまでの過程は分かっていない。
今回、Jessica Garbたちの研究グループは、ダーウィンズ・バーク・スパイダーの絹糸腺に発現する遺伝子の塩基配列を解読し、通常と異なる絹糸遺伝子に気付いた。ダーウィンズ・バーク・スパイダーは、他のクモによって知られている主要な絹タンパク質を産生する一方で、独特な反復配列を有するタンパク質も産生し、この配列には、クモ糸の伸縮性を高めることが知られているアミノ酸の一種であるプロリンが大量に含まれていることが分かった。Garbたちは、ダーウィンズ・バーク・スパイダーのクモ糸が非常に強靭なのは、この独特なタンパク質配列のためであると考えている。
doi:10.1038/s42003-019-0496-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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