Research Press Release
プリオン感染を調べるための培養細胞系
Nature Communications
2011年4月20日
新たに合成されたプリオンタンパク質を実験的に検出するための細胞系が作製され、この細胞系を使って、細胞のプリオン感染が急速に起こることが明らかになった。この知見により、プリオンの合成と病理学的役割を調べる新たな機会が生まれるかもしれない。この研究について報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)のような神経変性プリオン病は、誤った折りたたみ方をされたプリオンタンパク質が存在することを特徴としているが、このことを実験的に調べることは難しかった。培養細胞に接種されるプリオンが、宿主細胞で発現するプリオンと区別できないからだ。今回、S Tabriziらは、標識されたプリオンタンパク質を培養細胞に導入した新たな細胞系を開発し、その結果、プリオン感染の初期の特徴を調べることが可能となった。Tabriziらは、この細胞系を用いた実験によって、プリオンが接種後1分以内に細胞に感染し、正常なプリオンが誤った折りたたみ方のプリオンに変換する部位が細胞膜であることを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms1282
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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