【健康科学】死亡リスクの予測に役立つ血中バイオマーカー
Nature Communications
2019年8月21日
全死因死亡率に関連する14種の血中バイオマーカーについて報告する論文が、今週掲載される。この研究知見は、現在の方法と比較して、5年死亡リスクと10年死亡リスクの予測を改善するために役立つ可能性がある。
患者が亡くなるまでの1年間にその死亡を予測することは、利用可能な臨床データの量を考えれば、原則として実現可能だ。以前の研究では、死亡リスクを予測するために使用できるバイオマーカーを同定するために、血中代謝産物のプロファイルと他の生理的パラメーターの分析が行われた。しかし、長期(5~10年)死亡リスクを判定するために使用できる予測因子が何であるのかという点に関しては意見が一致していない。
今回、Joris Deelenたちの研究グループは、ヨーロッパ系の18~109歳の参加者からなる12のコホートの合計44168人のメタボロミクス・プロファイリングを行った。この結果から、全死因死亡率に関連する14種の代謝産物が同定された。これらのバイオマーカーは、リポタンパク質と脂肪酸の代謝、解糖、炎症を含む種々の過程に関与することが知られている。次にDeelenたちは、同定された代謝産物を用いて、5年死亡リスクと10年死亡リスクを予測するモデルを構築した。このモデルは、従来のリスク因子を用いたモデルよりも全ての年齢で精度が高かった。
Deelenたちは、臨床診療において、14種のバイオマーカーと性別に基づくリスクスコアを治療戦略の指針に用いることができるという考えを示している。ただし、さらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/s41467-019-11311-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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