健康的なライフスタイルは認知症リスクの低下につながる
Nature Medicine
2019年8月27日
遺伝的な認知症リスクが低いか中程度の場合には、健康やライフスタイルに関わる要因を変えることで、こうしたリスクを下げられる可能性が出てきた。
認知症は複雑な病気で、その原因はまだはっきりしていないが、遺伝的要因とライフスタイルに関わる要因(定期的な運動をしていないなど)が主な促進因子だと考えられている。これまでの研究は、主として個々の防御因子に注目してきた。しかし、複数の因子を組み合わせた場合の有益な効果は、個々の因子の総和よりも大きくなる可能性がある。
ライフスタイルに関わる要因と遺伝的素質の組み合わせが認知症リスクに及ぼす影響を調べるため、S Licherたちは、ロッテルダム研究(オランダの高齢者コホートの長期追跡研究)の55歳以上の参加者から得た6000人分を超えるデータの解析を行い、望ましい健康要因やライフスタイル要因(例えば定期的な運動、健康的な食事、限定的なアルコール摂取、禁煙など)に基づいて、個々の参加者に点数をつけた。その結果、遺伝的な認知症リスクが低い場合には、望ましいライフスタイル要因の点数が認知症リスクのさらなる低下と関連付けられることが示された。これとは逆に、遺伝的な認知症リスクが低い参加者であっても、ライフスタイルに関する要因の点数がよくない場合は、リスクが高くなることが分かった。また、遺伝的素質から認知症リスクが高くなっている人では、ライフスタイルが望ましいものであっても、望ましくないものであっても、認知症リスクには影響が見られないことも明らかになった。
ロッテルダム研究は大規模で長期にわたる計画である点が長所になっているが、今回の知見についてはこれとは無関係な集団での解析を行って確かめる必要があると、著者たちは述べている。
doi:10.1038/s41591-019-0547-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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